PAPRIKA stool

量産と個体差

ものづくりのルーツについての研究をし、人と物の関係性が現代と異なっていたと考察。素材との出会いや自然の成り行きで生まれた道具に抱く感情。それは見分けがつかないほど精巧に同じ形状で量産品に触れるうちに失われている感情に思えた。

植物や石ように、わずかな個体差がものに個をもたらすと考え、プロダクトに個体差を持たせることを試みた。果実が実るように、内側から膨らんで形作られるスツールを制作。

2017.09-12

作り方

伸縮性のある布の袋と発砲ウレタンでこのスツールは構成される。塩ビパイプの中で攪拌された発泡ウレタンは自身が発砲する圧力で布の袋に流れ込み、10分程度で硬化、人が座れる強度に達する。ウレタンは硬化する際に布の表層に浸潤し、FRPのように強固なシェル構造を作る。そのため、PAPRIKA stoolは1kg前後という軽さでありながら非常に丈夫。

また、製造に必要な設備はインジェクション成型と比較して極めてコンパクト。設備の材料は2×2ウッドや塩ビパイプ等、入手が簡易なものを選んだ。そのため、消費地でそれぞれ個別に生産する事が可能となり輸送コストや過剰生産の削減につながる。

video by Kotaro Saito

Process-作り方からデザインする

柔らかい型を用いることで、個体差のあるプロダクトを作れないかと仮説を立て、風船やビニール、靴下などに発泡剤を流し込む。その過程で布と発泡ウレタンを組み合わせることで強度を発揮することを発見。発泡ウレタンの安定した注型方法や布のパターンを模型を作りながら検証した。

HOW TO MAKE A CUP OF COFFEE

ものづくりのルーツをたぐる

料理は手間をかけ、準備に時間をかけるほどにより美味しく感じられる。当然、コーヒーも缶よりもハンドドリップの方が美味しく感じる。全てを自分で作り0から淹れた珈琲はどんな味がするのだろうか。

コーヒーを一杯淹れるためにはコーヒーミルをはじめ、様々な道具が必要になる。その一つ一つを手作りする。もちろん手作りに使う道具もその道具を作る道具も手作りする。石や貝殻を拾い、植物から繊維を取り、火を起こす。

デジタルファブリケーションによってDIYの自由度はかつてないほどに広がった。しかし、自分で作るという行為の本質から遠ざかっているようにも感じた。このプロジェクトは、コーヒーを0から淹れることを通じてものづくりのルーツをたぐる試みである。

2017.05-07

Process1-拾い集める

そもそも加工する道具がないため、木や貝殻など加工しなくとも使える素材を拾い集める。大きな葉っぱや座り心地が良い石など、自然のなかにはたくさんの道具がある。その他、黒曜石や土器になりそうな土、竹の皮など加工する前の素材も採取した。

Process2-加工する

小さい黒曜石でも断面の切れ味はよく、河原に生える青麻の収穫に一役買った。青麻は表皮を剥ぎ細かく裂いて撚り合せることで、丈夫な糸や縄となる。

山から採取した土はそのまま練ったとしても不純物が多すぎてまともに形にできない。小石や植物の根を念入りに取り除くことで粘土となる。それでも細かな砂利は取り除けないので現在の粘土からは程遠いがなんとか形にすることができた。

また、この時から竹を伐採するようになりざるやケトルなどの多くの道具の元となった。

Process3-火を起こす

もっとも時間がかかった工程。梅雨時であったことに加え、現代人であり体力がないため苦戦を強いられた。体力のなさを知恵で補うべく様々な火起こしの道具を制作し、最終的に弓ギリ法を用いた。火を使うことで土器の制作が可能になった他、松ヤニ接着剤なども制作した。

Process4-珈琲を淹れる

珈琲を淹れるためには珈琲豆が必要であるが、日本には珈琲豆が自生する場所がなく、海外でもシーズンではなかったため、たんぽぽの根を用いることとした。ここまでの工程は過去の資料をなぞることで再現が可能であったが、この工程では過去の資料にない道具を考える必要があった。焼成時に割れてしまった陶器のケトルの代用として竹のケトルを作るなど様々な予定変更があったがなんとか珈琲らしいものができた。

作った道具

珈琲を一杯飲むためにたくさんの道具を作った。ものをつくり次世代に残すことで紡がれてきた人類の歴史を実感した。

CLIPPER

長く使う道具を考える

バリカンの機能は電動化して以来大きな変化もなく、これからも変わらないことが予想される。バリカンは包丁やハサミのようにメンテナンスをすることでずっと使える道具になりうると考えた。

制作当時、家のバリカンは汚くてアタッチメントも足りなくなって破れた箱に入れて棚の奥にしまいこまれていた。使えないことはないが、使いたいものではなかった。このバリカンでは無くさないように付属品を一体化。置いておく時の姿を考え自立する形状にした。

2016.05-06

Process-作って考える

長く使う道具ならばその分だけ丁寧につくりこみが必要と考え、1ヶ月という制作期間の中でどこまでディティールを詰められるかに焦点を置いて制作した。素材を変えながら模型を作り、より細かい部分まで比較検討していく。1mmでプロポーションの違いを感じられることなど、手で作ることで様々なことに気付きながら制作を進めた。

金属板のティッシュケース

デザインとかたち

クリップを二つ繋げたような形状このティッシュケースは上部のクリップに箱から出したティッシュを挟んで使用する。通常のティッシュケースに比べ視覚的にティッシュの残量がわかる。下部のクリップは卓上で足として機能するほか、パーテーションやホワイトボードなど板状のものに挟むんで立面に取り付けることができる。

金属板を曲げるだけで機能を果たすブックエンドから着想し、金属板を曲げるだけで作れるプロダクトを考えティッシュケースを制作した。

2016.06-07

Process-デザイン検討

金属板を曲げて作るという制約を設けたためスケッチを書かずに厚紙を重ねたり、アクリルを曲げて実寸の模型をつくりながらデザイン検討を進めた。ティッシュとのサイズ感や厚み、角Rの取り方などを立体のモデルを用いて検討していく。検討の中で、二つのクリップを繋げる形状にたどりつき、最終の形態にたどりついた。

3Dプリントの第一歩となるツール

3Dと2Dをつなぐインターフェース

デジタルファブリケーションが一般に普及した社会、ファブ社会の構想は以前からされているが、リサーチの結果一部のコアなユーザー以外には浸透していないことがわかった。
初めての3Dプリントのハードルとして
・3Dモデリングの難易度の高さ
・そもそも何を作ればいいかわからない
の2点を考えこれらを解消するツールを制作。

このツールはブロックを台に置くと3Dモデルを生成し画面に表示。積み木のように直感的に3Dデータを組み上げることができる。また、複雑な形状や役に立つものがつくれないため、作るものに悩む必要がなくまず手を動かしながら形を考えられる。組み上がったモデルは3Dのデータとなり、3Dプリントすることができる。

2016.09-11

Research-デジタルファブリケーションのリサーチ

以前から興味のあったデジタルファブリケーションのリサーチを行った。「FabLab渋谷」や「SONY creative lounge」、「SOLIZE products」などデジタルファブリケーションに関わる施設や企業に訪れ、実情やそこにいる人の考える「ファブ」について話を聞き、そこに訪れる人を観察した。

Protyping-プロトタイプを作る

リサーチしてわかったことの1つにインターネットを駆使すれば大概のものは作れるということがある。今回はarduinoを用いてブロックの配置を読み取るシステムと、Grasshopperを用いて画面上に3Dモデルをリアルタイムで表示するシステムを手探りで作成し、連携させることで実動するプロトタイプを作成。筐体はレーザーカッターを利用した。

MISAKO 8

いちから組み上げた電動自動車。

MISAKO8は時速5kmと歩くような速さで走る自動車。4つのカーバッテリーを直列にし48Vの電力を供給。歩くよりも早く走るよりも遅い。多くの美大生の乗り物のデザインと比較するとまったく洗練されていないが、エモーショナルな乗り物になった。

多摩美術大学では機能することのない模型が大量に作られ、概観のことばかり考えている。しかし、デザインは使うことから切り離されるべきではないと考えていた私は実際に動く自動車を作ることで問題を提起しようと考えた。

2016.04-07

Process-いちから組み上げる

バンドソーのモーター、荷台のキャスター、廃材、100均やホームセンターで買った材料を組み合わせて自動車を作り上げる。自転車用のライトはarduinoで制御してウィンカーに作り変えた。作って走ることを繰り返し少しずつバージョンアップしていく。

MISAKO 8と学内

MISAKO 8に乗って学内を走ると自然と人が集まってくる。たくさんの人がに「美大生の作った走る自動車に乗る体験」をさせることに成功。美術大学のデザイン専攻=形を考えるだけという考えに自然な形で疑問を投げかける。

その他の制作物

電動消シゴム

15秒アニメーション

student work

2016.05

文具と玩具の境界を考える

付箋できた積み木

付箋をブロック状に加工した積み木の提案。既存の積み木ではできない剥がしたり、割ったり、くっつけたりと多様な使い方ができ、遊びかたの幅を広げます。

self work

2018.08

石川 吉雄

略歴

1995.12
-東京生まれ
2018.03
-多摩美術大学プロダクトデザイン専攻卒業

コンピュータースキル

Illustrator
Photoshop
InDesgn
Rhinoceros
Keyshot
Grasshopper
Arduino

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Contents

PAPRIKA stool

Graduation work

2017.09-12

HOW TO MAKE A CUP OF COFFEE

Research project

2017.05-07

CLIPPER

Student work

2016.05-06

金属板のティッシュケース

Student work

2016.06-07

3Dプリントの第一歩となるツール

Student work

2016.09-11

MISAKO 8

Self work

2016.04-07

その他の制作物

Other works

2014-2019

石川 吉雄

Profile

1995.12-

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